舞台の上手(かみて)と下手(しもて)について
舞台上から客席を見て、左側が上手、右側が下手になります。
客席から見ると左右が逆ですね。「右」「左」だと、どこから見たか
確認しないとわかりにくくなりますが、「上手」「下手」と言えば
舞台のどの位置を指しているかすぐにわかります。



舞台の構造上仕方がない時を除き、司会者は下手(立場が低い人がいる場所)
から舞台上を紹介します。舞台上が主役な訳です。


これは諸説ありますが、古来の日本では一番偉い人(殿様など)から見て
左側に左大臣、右側に右大臣が控えており、左大臣は経験豊富な者で
右大臣より格上とされています。
三月三日に桃の節句(雛祭り)があり、お雛さまを飾る習慣がありますが、
この際にも上段から見て左側に老人の左大臣、右側に若い右大臣が飾られます。



この位置関係を重視した宴会場なども、入り口は下手側にあり、入って左側に
床の間(掛け軸や高そうな壺などがあるところ、舞台の場合もあり)、床の間側から
見て手前の左側が上座になります。
今後、社会人になりたての時に宴会場に入るような場合は、「とりあえず奥から
詰めて座る方が合理的」と考えず、若い者は床の間から離れた下手側の末席から
座りましょう。上座は社長や役員などが座る席です。

落語も古い文化ですので、この慣習は残っています。一人で立場の違う二人を
演じる場合、立場が上の者になる場合は右下を向き、下の者になる場合は左上を
向いて喋る事がほとんどです。

相撲で一番強いのは「横綱」ですが、東と西の横綱では東の方が上です。
歴史の授業などで平安京や平城京の地図を見たことがあると思いますが、
古い都は北に本殿を作るのが慣わしです。本殿の南側に町が広がりますが、
本殿の南側にある土俵では東が上手側になるので、これも同様に東の方が
上であるとされています。